Bishop Records blog

レコードレーベル"Bishop Records"の、最新情報やこぼれ話など。

JazzTokyo ジョン・アバークロンビー追悼特集

JohnAbercrombie.jpgJazzTokyo 誌に、先日逝去なさいましたギタリストのジョン・アバークロンビーさんに対する短い追悼文を寄せさせていただきました。真面目にジャズを勉強していた頃、90年代のアバークロンビーさんの演奏は、優れた手本のひとつでした。それだけに、彼の音楽は日本でもう少し高く評価されてもよいとは常々思っており、そんな事を書きました。
どうしても原稿を書く時間が取れず、JazzTokyo 誌の編集長様宛の私信で書いた文章をほぼそのまま掲載していただく形となってしまいました。柔軟に対応して下さったJazzTokyo 誌の編集長様およびスタッフの皆様に、心より感謝申し上げます。

追悼特集 ジョン・アバークロンビー:
http://jazztokyo.org/issue-number/no-233/post-19344/

Jazz Tokyo No.233:
http://jazztokyo.org/

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  1. 2017/09/01(金) 23:50:01|
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ジョン・アバークロンビーのご逝去に関し

JohnA-2.jpg 先月23日、ECMから録音を数多く発表なさっているジャズ系ギタリストのジョン・アバークロンビーさんが逝去なさいました。JazzTokyo誌様に寄稿させていただこうと思っていたのですが、メールの行き違いから(私の一方的なミスです)それが適わなかったもので、短い追悼文を。

 ジャズギターというのは、「バンドの中にひとりだけビバップがいる」と揶揄される事すらある楽器と思うのですが、ジャズの歴史の中で、ジャズギターをコンテンポラリーなフィールドに押し上げる重要な役割を果たしたひとりがアバークロンビーさんなのだと私は思っています。ジャズ全体ではなくギターに限定して見れば、果たした仕事の大きさはマクラフリンさん以上ではないでしょうか。アバークロンビーさんというと、どうしてもデジョネットさんらと共演していたフュージョン的な時代がクローズアップされがちだと思うのですが、私が尊敬して止まないのは90年代の録音群であって、分けてもギター、オルガン、ドラムのトリオで演奏されたアルバム『Tactics』を聴いた時には、自分が抱いていたアバークロンビー像とのあまりのギャップに驚かされました。ギターサウンドこそ、ECMのほかのギタリストと似た印象を与えるエフェクターがかったフュージョン的なサウンドメイクですが、その内容は「ジャズ」を基準に見ると、大変に硬派なものであったように感じます。『Tactics』は、凝ったアレンジが施されているわけでも、明確なコンセプトが打ちたてられているわけでも、斬新な和声的な挑戦があるわけでもありませんが、それだけにアバークロンビーさんの音楽的な視点や身についた肉声がストレートに伝わる素晴らしい演奏と録音だと思っています。
 御逝去から10日近くが経過してしまいましたが、かつての一ファンとして、改めてご冥福をお祈りいたします。

  1. 2017/09/01(金) 10:34:03|
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書籍『死の拒絶』(アーネスト・ベッカー著、今防人訳) 感想

P8070238.jpg 数十年ぶりに、アーネスト・ベッカー『死の拒絶』という本を読みました。オットー・ランク(フロイト学派の人物で、後にフロイトと決裂)の研究を軸に、「人には死の恐怖があり、人間活動の主目的は死の拒絶・否認にある」という命題を立て、人間を掘り下げます。人は死の恐怖に耐えかねるため、文化化していく過程で様々な文化装置を用いて死の恐怖を和らげる。しかしそれが幻想である事を見抜けてしまう者は苦しむ。見抜かない者はヒロイズムに自らを転移し続ける事で不安を取り除くか、その問題と正対する事を避け続ける。しかし見抜く者はぼんやりと生きることができなくなり、死の現実に打ちのめされ患うものと、自ら立ち向かうリアリスト、この二極を生む。リアリストは哲学・宗教・芸術など何らかの実存的な踏み込みを見せ、死すべき運命を自ら知っている人間が挑戦する「死の拒絶」の先では…大体こういう内容でした。

 実存を扱った智慧には若いころに浴びるほど触れ、とうの昔に結論を出した筈なのに、枝葉に気をとられるとすぐに幹を見失ってしまう私は、しばらくすると同じ問いに戻ってきてしまいます。最近、作曲や演奏などの音そのものばかりに気をとられて、背景にある人間や自分を忘れがちになってしまい、「お前まずいぞ、重要な所を見失いかけてる、形だけ取り繕おうとしている」と、自分の中に住んでいる手厳しいおっさんに警告されてしまいました。こういう時は意識してこういう所に立ち返る事にしているのですが、これは創作を中断してでも立ち戻って良かった視座でした。(近)

  1. 2017/08/07(月) 09:08:26|
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Bishop Records 関連の近作の音楽評・書評を更新

ようやく時間を作る事ができたので、Bishop Records 関連の近作の音楽評・書評などをまとめました。レビューって読んでいて楽しいです。若い頃、スイングジャーナルを買ってもレコード芸術を買っても記事などぜんぜん読まず、最後のディスクレビューだけ読んでいた事を思い出しました。
多くの批評家さんやメディア関連の方に取りあげていただき、感謝いたします。

CD『照内央晴・松本ちはや / 哀しみさえも星となりて』
http://bishop-records.org/onlineshop/article_detail/EXJP021.html

CD『山口正顯・渡辺生死』
http://bishop-records.org/onlineshop/article_detail/EXJP023.html

書籍『音楽の原理』
http://bishop-records.org/onlineshop/article_detail/book_the%20principles%20of%20music.html




  1. 2017/06/04(日) 16:35:57|
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CD『TOKYO FLASHBACK P.S.F』 2017.5.24発表

P5180241-2.jpg ディスクユニオン様から、新譜CD『TOKYO FLASHBACK P.S.F.』到着。オーナーの逝去により消滅した日本の名レーベルP.S.F.Records の追悼盤です。すべて未発表音源、私も追悼のつもりで1曲だけ演奏を提供させていただきました。

 1曲目のWHITE HEAVEN さんの演奏を聴いて、自分の音で語っていると感じ入りました。ある音楽の形だけを踏襲するのではなく、きちんと自分の言葉として音楽している人たちがまだいるのだなと、ほっとする感覚。私はロックからずいぶん離れたところに来てしまいましたが、若い頃にこういう音楽にたくさん触れていて良かったと、今でも思う事があります。

 5曲目キム・ドゥスさん。韓国のアーティストでギター弾き語り、心の入った見事な歌に息をのんでしまい、このトラックを何度も繰り返して聴いたために、しばらく先に進めなくなってしまいました。私個人としては、このアルバムで最も心打たれたパフォーマンスでした。

 7曲目 À Qui Avec Gabriel さんのアコーディオン・ソロ。この方は、ピアノの弾き語りを演奏してもアコーディオンを演奏しても、自分の美感を綺麗に音に入れる方で、温かな抒情性と、そこだけに沈殿するまいとするような先鋭的な感覚、このふたつのバランスの良さに、いつも高い音楽センスを感じさせられます。

 10曲目灰野敬二さん。有名人だけに色々言われてしまう人ですが、実際のところは音楽に対するバランス感覚が抜群に優れている方と感じます。偏った音楽の聴き方や接し方はせず、それらを俯瞰した上でその髄にあるものを的確に捉える部分、ここが灰野さんの才能のうち、特に秀でた部分ではないでしょうか。

 CD2枚目の冒頭、ヒグチケイコさん。これもセンスの塊、発想が見事でした。音楽を聴く時の私の歓びは、情動とフォルムのふたつによるところが大きい気がしていますが、うち情動面での刺激の役割は重要で、この局面に関して見事な感性を持っているパフォーマーだと改めて驚かされました。まったく同じ事を、4曲目冷泉さんにも感じました。こちらも実に見事でした。

 9曲目平野剛さん。ギーゼキング演奏のラヴェル「版画」にはじめて触れた時のような感覚、最初の1音が紡がれた瞬間だけで、「ああ、私もこういう音楽家でありたい」と思わされてしまいました。40を過ぎてから特に感じるようになった事ですが、音に外連味を少しでも感じてしまうと、その人の出す音を受け入れられなくなっている自分がいます。音と自分の両方に、ごまかさずに正対してきた人だけが出せるような、逞しい年輪を感じさせる見事なピアノでした。

 ディレクターを務めて下さった馬頭さん。馬頭さんはこのアルバムでライナーノートを記していますが、これらの音の背景のひとつを、自分の視点から描き出されています。これは時代の証言のひとつとして大変に価値あるものと感じながら読ませていただきました。

 実はこのアルバムに関し、制作段階で、私自身が疑問を覚える部分がいくつかありました。そのひとつは、このアルバムを聴く人の利益です。追悼盤の収益は、長い闘病生活で多額の借金が残ってしまったレーベルオーナーのご家族に寄付されるとの事でしたので、追悼盤の制作やそこへの協力はまったくやぶさかではなかったのですが、しかし聴く人にはどういうメリットがあるのだろうかという疑問がずっとあったのです。しかしこうして完成したものを聴くと、ある時代思潮が見事に反映された、素晴らしい記録と感じました。生きた言葉に触れさせていただいたような喜びがありました。作曲も演奏もプロの手によるものが少ないので、正直のところ傷は多いです。しかし、プロ音楽家が得てして見失っている(あるいは犠牲にせざるを得ない)部分、音楽の髄にある大変に重要な部分を捉え、それをそれぞれの言葉で表現しているものが今もこれだけ生きている事、そしてそれを担っているのが、普段は他の仕事をしながら生きている市民である事に、感銘を覚えました。これは小手先でない現代日本の肉声のひとつ、見事なフォルクローレだと思います。発表は5月24日、既に予約は受け付けているようです。

http://diskunion.net/jp/ct/detail/1007359211?dss


  1. 2017/05/18(木) 14:17:54|
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