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Bishop Records blog

レコードレーベル"Bishop Records"の、最新情報やこぼれ話など。

トランぺット奏者の沖至、逝去

OkiItaru_5Cds.jpg 8月25日、トランぺッターの沖至さんが逝去なさったそうです。享年79歳。

 私が沖至さんの演奏に初めて触れたのは、1973年にジャズ批評家の副島輝人さん主催のフェスティバルを収録したライブ盤『インスピレーション&パワー14』を通しての事でした。そこでの沖さんはエレクトリック・トランペットを演奏しており、エレクトリック・マイルスをよりフリーにしたような演奏を披露していました。遡る形で1970年録音の『殺人教室』も聴き、バップの延長にあるようなフリージャズと、数多くの楽器を使った色彩感豊かな音楽のふたつを聴きました。60~70年安保闘争という社会状況の中で、大学卒業後にジャズの世界に身を投じたトランぺッターの思索を音で見た思いがしました。

 しかし、私が沖さんを知った頃、沖さんはもう日本にはおらず、渡仏していました。また、録音を通しても、74年の渡仏以降の沖さんの音楽に触れる機会は無いままでした。
 渡仏後の沖さんの音楽に触れることが出来るようになったのは2010年代に入ってからで、欧米で日本のフリージャズに注目が集まった時でした。フランスの新興レーベルであったImprovising Beings は、その最初の作品として沖至さんを選びました。タイトルは『野武士考』。同レーベルは以降も沖さんの録音を発表し続け、アラン・シルヴァを含むカルテットの演奏は、パリならではの国際色豊かな編成の音楽でした。沖さんの音源はさらにリリースされ、リトアニアのレーベルNoBusiness Recordsも、日本のちゃぷちゃぷレコードが所有していた沖さんの音源をリリースしました。

 ビショップレコーズでは、渡仏後の沖さんの録音を5タイトル扱っています。渡仏後の沖さんの音源は数があまり多くなく、あまり多くの在庫は確保できていませんが、興味がある方はどうぞ聴いてみてください。素晴らしい音楽家のご冥福を慎んでお祈り致します。

http://bishop-records.org/onlineshop/artist_detail/OItaru.html
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  1. 2020/08/28(金) 14:03:05|
  2. 入荷情報
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CD『原田斗生 / To-i』 録音を担当させていただきました

Harada Toi_first CD コロナ禍となる直前の今年の2~3月に録音/ミックス/マスタリングを担当させていただいた、原田斗生さんの録音作品がリリースされました。原田さんはイーストエンド国際ギターコンクールの2019年度覇者。圧倒的なパフォーマンスで幼いころから日本のクラシック・ギター界で大変な注目を集めていた、将棋で言う藤井聡太さんのような存在です。そのパフォーマンスを生ではじめて拝聴させていただく機会が録音担当とは、ディレクターの竹内永和さんに感謝するばかりです。

 演奏を目の当たりにして驚いたのは、暴力的なほどの表現の強さ。繊細さより豪放、解釈より表現を優先していくような強さでした。音楽を生業としていても感動に至る演奏表現に出会うことは稀ですが、この若者の演奏表現には圧倒されました。音楽界で生きていたにも関わらず、私が「本当の演奏とはこういうものなのだ」とはじめて思い知らされたのは20代も後半にさしかかった頃でした。自分の職場だった録音スタジオで、毎日のように一流と言われる人の演奏にさんざん触れ、自分もまた演奏活動をしていながら、表現の何たるかを知らなかったわけです。それを、まだ高校生だった原田さんは当たり前のように知っていて、しかもそれを具象するレベルにまで達していました。
 数年前に録音を担当させていただいた山田唯雄さんもまた素晴らしい表現を持つプレイヤーでしたが、それと合わせて考えると、今の日本クラシック・ギター界の若手は、尋常ならざるレベルにある世代と言えそうです。指が速く動くとかそういう問題ではなく、スコアの読み込みが深く、それを見事に表現につなげることが出来るレベルです。演奏職人ではなく、まぎれもなくミュージシャン。

 エンジニアとして目指したことは、はみ出すほどの表現力を型にはめることなく生かしたまま、バス・和音・メロディを1本のギターですべて表現するクラシック・ギター独特のアンサンブルをオーディオレベルで整える事でした。音像や音場より先に、まずは演奏の素晴らしさに気づきやすいよう尽力したつもりです。曲による音像や音場のばらつきは、エンジニアとして文句を言われないようにする事より先に、表現とアンサンブルを優先したエンジニアの献身ゆえと思って許してください。時として暴走も辞さない爆発的な演奏なので、エンジニアの苦労は計り知れず。消耗し尽くしたので、数か月はクラシック・ギターの録音の仕事はしたくないです(笑)。

 器楽コンクールというと、どうしてもミスの少ない人が勝ちやすく、個性的な演奏者が弾かれる傾向にあると思うのですが、こうしたプレイヤーをグランプリに選びだした審査員の目は素晴らしかったのではないか。スコアの読み込みがまた素晴らしいと感じましたが、これは本人だけでなく指導者もまた素晴らしかったのではないか。内容的にもう少し難しい録音セッションになっていてもおかしくなかった所を、取りこぼしも追加録音もなく済んだのは、自身が素晴らしいギタリストである竹内さんのディレクションがあったからではないか。つまり、原田さんの素晴らしい演奏の背後に多くの人の顔が見えたような気がして、これは日本クラシック・ギター界全体の長年にわたる努力が生み出した名演ではないかとも思いました。

 このCDは、コンサート会場のほか、全国のギターショップでも入手可能なようです。
  1. 2020/08/03(月) 21:54:52|
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