
社会学者ドラッカーの著『プロフェショナルの条件』の一節。「専門的な知識を持つ人は、多少知識を持ちはじめると他を馬鹿にしがちになる。だが、そういう人の失敗は往々にして専門外の知識の軽視から起きる。無知の元凶にある知的な傲慢を正す事だ。」うろ覚えなので多少言い回しが違うかもしれませんが、大体こういう内容でした。
音楽ライターの伏谷佳代様が、JazzTokyo誌2017年第2号にて、書籍『音楽の原理』の書評を書いて下さいました。この本の本格的な書評の第1号と思います。
http://jazztokyo.org/reviews/books/post-12261/ この本を出して下さった出版社の代表さんに、こう提案したことがあります。「音響現象とそこに関わりに行く人間の関係を正確に捕捉するには、場の量子論あたりまでの知識は必要。それは高校までに習う範囲ではないので、社会に共有された知識とは言えないでしょう。だからこの知識は提示すべきと思うのですが、しかし今の社会には、音楽書で量子論に触れるというだけで安直に否定される空気を感じます。私はカットしても構いませんが、どうしますか。」つまり、私にはある種の諦観があるわけです。本書には、これと似たような提案をした箇所が幾つかあるのですが、代表さんの返事は一貫していました。「読んでいて実に論理的。きちんと読んでくれさえすれば、その意図が理解できる筈です。こういう本を出す腹を決めた以上、短縮なしでいきましょう。」そして伏谷さんの書評は、私の諦観を裏切り、出版社の代表さんの意見を裏付けるものでした。私が諦めから敢えて曖昧にして書いたこの本の「本当の」テーマの一部にすら言及されていますが、知識の軽視があった場合、とてもそこを言いあてる事が適うとは思われません。高く評価いただけた事などおまけのようなもので(感情としてはもちろん嬉しいですよ!)、本格的な書評第1号として、真剣に論考いただけた事が、何にも勝る喜びです。内容の価値など、(良いにせよ悪いにせよ)他者評価など関係なしに最初から定まっているのですから。
本格的に書かれた最初のこの書評、皆様にぜひ読んでいただきたいです。伏谷様、本当に有り難うございました。
http://bishop-records.org/onlineshop/article_detail/book_the%20principles%20of%20music.html
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- 2017/02/01(水) 20:35:33|
- 書籍『音楽の原理』
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