Bishop Records blog

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書籍『死の拒絶』(アーネスト・ベッカー著、今防人訳) 感想

P8070238.jpg 数十年ぶりに、アーネスト・ベッカー『死の拒絶』という本を読みました。オットー・ランク(フロイト学派の人物で、後にフロイトと決裂)の研究を軸に、「人には死の恐怖があり、人間活動の主目的は死の拒絶・否認にある」という命題を立て、人間を掘り下げます。人は死の恐怖に耐えかねるため、文化化していく過程で様々な文化装置を用いて死の恐怖を和らげる。しかしそれが幻想である事を見抜けてしまう者は苦しむ。見抜かない者はヒロイズムに自らを転移し続ける事で不安を取り除くか、その問題と正対する事を避け続ける。しかし見抜く者はぼんやりと生きることができなくなり、死の現実に打ちのめされ患うものと、自ら立ち向かうリアリスト、この二極を生む。リアリストは哲学・宗教・芸術など何らかの実存的な踏み込みを見せ、死すべき運命を自ら知っている人間が挑戦する「死の拒絶」の先では…大体こういう内容でした。

 実存を扱った智慧には若いころに浴びるほど触れ、とうの昔に結論を出した筈なのに、枝葉に気をとられるとすぐに幹を見失ってしまう私は、しばらくすると同じ問いに戻ってきてしまいます。最近、作曲や演奏などの音そのものばかりに気をとられて、背景にある人間や自分を忘れがちになってしまい、「お前まずいぞ、重要な所を見失いかけてる、形だけ取り繕おうとしている」と、自分の中に住んでいる手厳しいおっさんに警告されてしまいました。こういう時は意識してこういう所に立ち返る事にしているのですが、これは創作を中断してでも立ち戻って良かった視座でした。(近)

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  1. 2017/08/07(月) 09:08:26|
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