
ビショップ・レコーズで録音とマスタリングを担当させていただきました、素晴らしいクラシック・ギタリストの録音作品を、Jazz Tokyo誌に取りあげていただけました。ディスク評、録音評ともに紙面トップの扱い、そしてどちらも絶賛に近い内容です。自分が関わらせていただいた作品にこれほどの高評価をいただき、こんなに嬉しい事はありません。
ギタリストの名は山田唯雄は、昨今のギター・コンクールを総なめにし、破竹の勢いで活躍している新人ギタリストです。アマチュアはともかく、プロのギタリストがこれを聴いて評価できない事はないだろうというほどの見事な演奏です。デビュー作の1曲目には、取りあげられる事の少ない日本人作曲家の現代曲を配置しています。世界初録音かも知れません。こうして、迎合せず自分の主張を通してくるところに、たんなる演奏のプロフェッショナルという一ギタリストではなく、音楽家としての大局観も矜持も持っていることが伺えます。以下、大バッハ「ヴァイオリン・パルティータ2番」、レゴンディ「序奏とカプリース」、ブリテン「ノクターナル」など、アルバム1枚に1曲入っていれば喝采というほどの大曲を次々に演奏しています。デビュー作にしてここまで大曲を並べた日本人ギタリストは、山下和仁さん以来ではないでしょうか。
ディスク評は、関根彰良様。「クラシック専門ではないミュージシャン及び音楽ファンがこのCDに興味を持って下さることがあれば、これほど嬉しいことはない。そのくらい多くの方に一聴をお勧めしたい作品である。」レビューではご謙遜なさっていますが、関根様自身が、クラシック、フラメンコ、ジャズと、いずれも見事な演奏をなさる素晴らしいギタリストで、少しだけギターを演奏する私からすれば、間違いなく一流と言えるひとりと思います。同じ楽器の場合、自分が楽器について一定の理解があり、さらにそこに矜持も加わるはずなのでなかなか褒められないと思うのですが、ここまで褒めていただけるというのは、個人などはとうに過ぎて、音楽そのものを正しく捉える領域におられる方なのだと思いました。まあ、この演奏を褒められなかったら、音を捉えられてない証拠みたいなものなので、ギタリストとして嘘ですよね、関根さん(笑)。それでも思った事はいろいろあったはずですが、クラシック・ギターに明るくないリスナーのために、こういう文章を書かれる事に人間的な大きさを感じました。
http://jazztokyo.org/reviews/cd-dvd-review/post-31151/ 山田唯雄、日本のクラシック・ギターの歴史を塗り替えるほどの大物のデビューかも知れません。このCDがどうなろうが、私にはメリットはないのですが、しかしあまりに素晴らしい演奏でしたので、クラシック・ギターを聴かない人にもぜひ伝えたいと思った作品です。ギターコンペの優勝賞品という特殊なCDですので入手は困難ですが、どうしても手に入れられない場合、ビショップレコーズの方にご連絡いただければ、なんとかします。これはぜひ聴いていただきたい演奏です。
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- 2018/09/02(日) 12:37:55|
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