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Bishop Records blog

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4枚組LP『Tokyo Flashback P.S.F.』発表

20190510_TokyoFlashback_LP.jpgP.S.F.Records 生悦住英夫さんの追悼盤『TOKYO FLASHBACK P.S.F.』が、アメリカのBLACK EDITIONS から4枚組LPとして発表されるそうです。私はバッハのヴァイオリン・ソナタ1番1楽章をギター編曲して演奏させていただきました。今にすれば簡単でない曲を選んだものと思いますが、川島誠さんと見舞いに行ったばかりの生悦住さんの死を前にした当時はそういう心情だったのでしょう。生悦住さんにこの演奏を捧げて以降、私はこの曲を弾いていません。作曲ばかりしている今では、弾こうとしても弾けないでしょう。

ディレクターを務めた馬頭さんからLPを送っていただいて聴いている所ですが、オリジナル盤の発表からしばらく時間が経過したためか随分このレコードを客観視する事が出来て、追悼に参加なさったミュージシャンそれぞれの青春や人生が聴こえてくるようでした。誰だって人生を背負って生きていますが、ここに入っている音の多くが、完成したものを披露しているのではなく、何かを探しながら必死にもがいているようでした。ひとりひとりは個人の戦いなのでしょうが、まとめて聴くと、何が正義かを迷い問いながら生きざるを得ない今の東京(や資本主義社会の大都市部)の状況が音化されているようです。

キッド・アイラック・アートホールもモダーンミュージックも無くなった明大前に私は足を運ばなくなりましたが、このレコードを聴いていて、明大前のモダーンミュージックまで足を運び、生悦住さんに明大前の喫茶店で「レコードを出そう」と言っていただいた時の事や、やってもやっても追いつかない音楽の練習や勉強に追われていた頃がフラッシュバックしてくるようでした。何が正義かを暗く真面目に悩み考えていた戦後の日本の若者が、80年代に入ってまるで愚民政策に屈したかのように深く考える事もなく意味より利潤や快ばかり優先しはじめた状況下でアンダーグラウンド化した状況、それを音にするとこんな感じではないでしょうか。アフリカや中央アジアや東欧など一部の民族音楽を聴いていると、そこに文化に組み込まれた自分の音楽があると感じますが、このCDからそうした音楽は感じられません。そうした音がないのが戦後の東京なのかも知れませんが、なぜこういう音を問うなり出すなりするに至ったのかという所に共通項を感じます。

あくまで私の解釈ですが、生悦住さんへの追悼という部分を差し引いてこの録音に残る価値とは、音楽よりも、戦後日本の思想潮流のひとつを捉えたところにあるように思えます。今回聴いていて個人的に心を動かされたのは、私が子どもの頃まで残っていた日本の歌音楽にあった情緒を現代化したかのようなà qui avec Gabriel さんのアコーディオン、フランス印象派音楽と日本のアンダーグラウンドが融合したような平野剛さんのピアノ、「なぜ」という意味では最上と感じられた冷泉さんは、素晴らしいパフォーマンスでした。この4枚組LP、日本では、HMVやディスクユニオンなどから5月末に入手できるようになるようです。
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  1. 2019/05/10(金) 14:10:30|
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