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Bishop Records blog

レコードレーベル"Bishop Records"の、最新情報やこぼれ話など。

今年もお世話になりました

PC300246.jpg今年もお世話になりました。

今年の自分の総括としては、音楽家としての私は、ヒグチケイコさん(ヒグチさん、洋梨有難う!)や黒田恵子さんなど、歌伴に重きを置いた1年でした。歌伴とはいえ伴奏ではなく対等なデュオという意識で取り組んだのですが、久しぶりに調音楽と正対し、そのギター演奏システムを見つめ直すきっかけになりました。また、その対極にあるようなカノンやフーガや音列技法の学習にも時間を費やしました。きっかけは、シェーンベルク作品のアレンジと、友人の美術家から求められたハウアーのトローペを用いた作品の演奏。こうして毎年少しずつでも前進している筈なのに、進むほどに課題は増えるばかりで、ゴールがますます遠ざかって感じられるのは、どういう事なのでしょうか。しるこでも食わないとやってられません。

執筆活動としては、長年取り組んでいた音楽の根本原理というテーマのレポートをまとめる事が出来ましたが、これはアルテスパブリッシング様はじめ、多くの人の協力があってできた仕事でした。感謝の気持ちを忘れないようにしたいです。音楽誌へのCD評やコンサート評などの寄稿も、幾つかさせていただきました。もう少し練習したいし作曲したいので、執筆作業はなるべく減らしたいのですが、しかし大変な力作や傑作まで黙殺状態にある時があり、さすがにこういう場合は自己犠牲もやむなし。自分だって、労力を割いてレビューしてくれた人の評価や叱咤に励まされ反省させられ、支え育てていただいて来たのですから。

ディレクター/プロデューサーとしては、自分の能力からすれば頑張れた方ではないかと思います。日本の管楽器の表現特性をフルートに組み込んだ狩俣道夫さんのフルートソロ(!)、都節を含めた日本の歌音楽に共通する情緒の形式を明示しようと努めた黒田恵子さんとの共同作業、「砂山」などの古い歌音楽のメロディーを軸にフリージャズ的な疾走感で駆け抜ける山口正顯&渡辺生死デュオ、私が思うワダダ・レオ・スミス最高傑作は、なぜこれほどの作品が聴かれないのかを考え、「何が為されたのか」の自分なりの見解を述べた解説をつけての再発。そして来年発売の照内央晴&松本ちはやデュオは、恐らく日本の即興音楽系の重要プレイヤーとして記憶される事になるだろう両者のデビュー録音(照内さん、林檎ありがとう)。現状の音楽シーンを鑑みると、どれも大変意義ある挑戦ばかりで、こういう生産的な仕事に関わらせていただけた事に感謝です。しかし、今年の膨大な仕事量の中で、よくこれだけやれたなあ…芋煮でも食わないとやってられません(中溝さん、いい店教えてくれてありがとう)。

エンジニアとしては、録音スタジオ出身のくせに、ますますライブ録音ばかりになりつつあります。さらに、好きな音楽ばかりを選ぶわがままが加速。「貧乏なくせに仕事を選ぶなよ」という死んだ叔父の声が聞こえてきますが、この性格が誰に似ているかというと叔父。そうはいうものの、自分の好きな音楽が何かというと、実は大概のジャンルは好きで、恐らくジャンルではなく本気度とか真剣度の部分で好き嫌いが分かれている気がします。嫌いというのは、下手とか趣味嗜好とかではなく、往々にして「なぜここで許してしまうのか」という部分が嫌いなのであって、これは自分自身の嫌いな部分を相手に投影して見つめているという、一種の自己嫌悪なのかも知れません。今年の録音では、超一流のプロの(技術以上に準備の)凄さと同時に、アマチュアの方の真剣さに感激させられた一年でもありました。エンジニアとして少しは貢献できていたら良いのですが…許された範囲で最大限の準備をし、最大限に手を尽くしたという事で、どうかご容赦いただければと思います。

1年を振り返るだけでも、自分が何を為したいと活動しているのか大体わかりますね(笑)。「こうあってほしい」「こうありたい」という物事だけに関わる事が出来た今は、なんと幸福な事かと思います。会社員の時も社長の時も、仕事を選ぶなんて出来ませんでしたし、まして「どう生きるか」の実践など、リアリティを欠く夢物語のようなものでした。そういう生き方が僅かながらも出来るようになったのは、なんといっても共感して下さる方々のおかげです。それに見合うだけの何かを、音楽を通して、皆様や社会に返せればと思っています。今年も一年お世話になり、ありがとうございました。どうぞ、良い年の瀬をお過ごし下さい。 (近藤秀秋)

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  1. 2016/12/31(土) 02:36:36|
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